完成に漕ぎつけるまで、一か月近くを要した豚の角煮を紹介させて頂きます。
まず、豚の角煮についてお話させてください。
豚の角煮は筆者にとって屈指のお気に入りの料理の一つですが、
毎回味見をして調味料の配分を微調整する必要もある結構大変な料理です。
ですが同時にかけた時間と手間以上のおいしさが必ず保証される料理。
それが角煮です。
豚の角煮を愛する者として、
自分なりの決定版豚の角煮レシピを完成させてみたい。
そんな思いにかられてかつての煮卵やトマトソース
cheap-delicious.hatenablog.com
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の時のように角煮を作り続ける日々が始まりました。
「胸を張って美味しいと言える角煮を作りたい!!!」
角煮をもっと美味しく、もっと柔らかく、
そのために考えつくあらゆる方法を試しました。
もっと柔らかく!
その一心で12時間煮込み続けたこともありました。
しかし結果はその逆で、
パッサパサで全然ジューシーでない肉になってしまったのです。
「長く煮ればいいというものではない」ということに気づいてからは
煮込む時間、火加減以外で肉を柔らかくする方法を探し始めました。
手羽元のコーラ煮のようにコーラを使ってみたり
いろいろな料理酒を試してみたり…。
そして最もバランスの取れた柔らかさの豚の角煮にするためには、これしかない、という方法が見つかりました。
残りは味付けです。
どんなに肉が柔らかく、大根が最高の煮込み具合であろうと、
肝心な味付けが微妙ではどうしようもありません。
それからは醤油、砂糖、みりん、料理酒などの配分を一から見直しました。
試行錯誤の末に絶妙に柔らかく、味のしみた大根にするための最終調整を済ませ、
・柔らかさとジューシーさを両立した豚肉
・味がしみ込み、固すぎず柔らかすぎない大根
・豚肉と大根を最も引き立たせる調味料の配分
を満たした豚の角煮は完成の日を迎えました。
以下がその、豚の角煮のレシピとなります。
材料・費用
1、豚バラブロック 400g 750円
2、大根(大きめ) 1/2本 98円
A、醤油 1回目 80㏄
2回目 80cc
B、砂糖 1回目 大さじ1
2回目 大さじ1~1.5
C、酒 1回目 大さじ1.5
2回目 大さじ1.5
D、紹興酒 1回目 大さじ1.5
2回目 大さじ1.5
E、みりん 1回目 大さじ1
2回目 大さじ2
F、水 「作り方」にて記載
計、848円
ここで肉を柔らかくし、臭みを抑える今回のレシピの立役者をご紹介します。
角煮をつくるなら紹興酒がオススメ

スーパーの調味料コーナーや、輸入食料品店などで購入できます。
特にメーカーなどはこだわらず安さや見た目の好みで決めてしまっていいと思います。
さて、中国の代表的なお酒・紹興酒は普通に飲用としても、料理酒としても利用されます。
料理酒として使用すると以下のような効果が得られます。
1、コクを与える。
2、素材を柔らかく仕上げる。
3、生臭さを抑える。
4、よい香りをつける。
料理をおいしくする様々な効果がありますが、
まさに角煮にピッタリなんです!
分量としては調味料を入れる1回目、2回目共に大さじ1.5ずつ入れましょう。
また、紹興酒を入れることで味が中華料理っぽい感じになると思いきや、
全然そんなことはなく、味にクセがある、というようなことにもなりません。
はじめは紹興酒を入れずに角煮を作ってみて、それでも普通に美味しかったのですが、
紹興酒を使って作った角煮はさらに美味しくなりました!
まさに縁の下の力持ちといったところでしょうか。
〇年もの、とかの高額なものでなければ比較的安価ですし、
角煮以外の料理酒を使う料理にも大いに使えるので、
絶対にあった方がいいと思います。
作り方
1、大根の皮を剥き、一口大よりふた周りほど大きく乱切りする。

大根の切り方に関して、何度も作るうちに気づいたことがあります。
それは切り方によってジュワーッと味がしみ込んだ大根にも、
中心部分にまで味がしみ込んでいなくてあんまり美味しくない大根にもなる、ということです。
乱切りのやり方はこちらの動画が非常に参考になります。
http://bcove.me/q7fis5z4bcove.me
大根のように野菜の多くは切り口から味がしみ込んでいきます。
切り口の面積が広くなる乱切りにすることで、たっぷりと味がしみ込んだ大根になります。
さらに、一口大より大きく切る理由としては
長く煮込む間の煮崩れを防ぐためにはある程度の大きさを維持する必要があるからです。
でも正直見栄えがいいのは太めの輪切りです。
長く煮込めば味もちゃんとしみ込むのでそちらでも全然いいと思います!
2、豚バラブロックをフライパンに入れ、中火で焼いて表面に焼き目を付ける。
↑の写真のように脂身側から焼き始めます。
脂身から十分に油が出るため、サラダ油等は使わずに済みます。
さらに向きを変えて4面を同じように焼きます。
焦がさない程度に焼き目を付けることで、余分な脂をある程度取り除くことが出来ます。
ここで余分な脂を取り除くことでほどよく赤味と脂身が合わさった角煮になってくれるのです。
3、焼き目を付けた肉を氷水入りボウルに入れ、表面を軽く洗い流す要領で脂を落とす。
焼き目を付ける段階でもかなりの脂を取り除くことができるのですが、
さらに氷水を使うことで脂をもっと落とすことが出来ます。
しかし、この工程の狙いは脂を落とすことだけではありません。
冷水で冷やすことで肉の身が締まり、煮込んだ時に旨味が煮汁に溶け出してしまうのを防ぐことができるのです!
4、脂を落とした肉を一口大に切る。
↑脂を落とした肉を横から見たところ。
肉を一口大に切るときにもポイントがあります。
焼き目を付けた脂身・脂身・焼き目を付けた赤身の状態になるように切る

①焼き目を付けた脂身の部分
②脂身のみの部分
③焼き目を付けた赤身の部分
上記の写真のように焼き目と焼目で脂身がサンドイッチされている状態だと、口に入れた時に脂身のとろける舌触りと赤みのジューシーさを同時に味わうことができる最も食感の良い状態になります!
200gの脂身であれば5等分くらいでちょうど一口大になります。
5、鍋にA~Eの調味料(1回目)と大根を入れ、一番上の大根が浸るくらいまで水を加え、灰汁取りをしながら中火で煮る。
6、鍋に肉を加え、灰汁取りをしながら中火で煮る。
↑濁った泡のようなのが灰汁。お玉で取り除きましょう。
7、一番上の大根と肉が浸る位まで水を入れ、調味料A~E(2回目)を加えて灰汁取りをしながら中火で煮る。
上記のレシピの通りの調味料の配分なら美味しく作れますが、その日の微妙な火加減の違いや配分の誤差によって生じるパターンとその対処法も書いみました。
角煮の味付け早見一覧
・「水っぽさが目立って味が薄い」
→醤油、酒を少し加える
・「醤油の味しかしない」
→砂糖、酒、みりんを少し加える
・「単純に味が薄い」
→4種類の調味料全てを少しずつ加える
・「全体的に味が濃すぎる」
→水を少しずつ加える
というように調整するといいかと思います。
8、弱火にして30分に1回くらいお玉でかき混ぜて味を均等にしみ込ませながら最低2時間、長くて6時間程度煮込む。

※大根のしっかりした食感を残したい方は、
弱火にしてから30分程度経過したところで
鍋から出してラップをして冷蔵庫に入れておきましょう。
また、全然柔らかい大根大丈夫!
という方でも弱火にしてから90分程度で取り出しておくのをオススメします。
何故なら、それ以上煮込み続けると
大根が崩れるどころか砕け散って欠片しか残らない事態になりかねないからです。
9、お好みの煮込み具合になったらお好みでからしを添えて完成。

茹で卵を入れてもおいしいです。
おまけ
余った角煮の汁はどうするの?

せっかく豚肉と大根の旨味が詰まった角煮。
これを他の料理に利用しない手はありません!
肉の旨味たっぷりうどんがおすすめです。
材料・費用
1、うどん 1玉 54円
A、角煮の煮汁 100㏄程度
B、水 50cc程度
計、54円
※ここでは煮汁100㏄:50㏄としていますが、
要は2:1程度です。
煮汁がまだ余っていたらもう一回うどんが食べられますね!
作り方
1、煮汁の入った鍋に水を加え、冷凍うどんもそのまま入れて沸騰させる。
うどんと旨味たっぷりのおつゆが絡みあって美味しい1杯の完成です!
あとがき
満足です。
これで角煮に対して筆者なりの感謝の気持ちが少しでも表現できたのではないでしょうか…。
何度も言っていますが、ホントに食に恵まれた時代に生まれて良かった…。
おいしい料理が自宅に居ながら調べられ、
素晴らしい料理を提供してくれるたくさんの料理店も日本中にあります。
改めてこれからも、食に対して感謝しながらのんびり生きていきたいとそう思いました。
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