はらぺこグリズリーの料理ブログ

超絶安い!超絶簡単!多分旨い!めんどくさがりな一人暮らしに最適なレシピを紹介

日本一の賞を2度受賞したけど、すごく悔しかった話

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どうもはらぺこグリズリーです。

久しぶりの更新にも関わらず本日は来てくださって誠にありがとうございます。

拙著「世界一美味しい手抜きごはん」を出版させて頂いてから1年、筆者の現状報告をさせて頂ければと思います。


読者の方は既にご存知かもしれませんが、すごくありがたいことに控えめに言って、多くの方にご愛読頂いているようです。

発行部数は現在58万部、前作と合わせると累計88万部とのことで本当に驚いております。。

昨年は、レシピ本大賞という日本のレシピ本の中で最も権威のある賞の2度目の受賞させて頂きました。

さらに出版社の方によると「出版したレシピ本が全て大賞を受賞しているのは歴代でも自分一人だけ」とのことで本当に本当に何から何まで恐れ多い気持ちです。。。

お恥ずかしいことですが、最近になってようやく多くの方に支えられてたどり着いたこの「結果」に対して、自分の気持ちを言葉にすることができました。

納得のいくモノが作れたかどうか

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筆者自身、本作りというか、モノづくり全般で意識してることなんですが、

「自分が納得のいくモノを作れたかどうか」

というのはとても大事なことだと思っています。

「豆乳より牛乳に置き換える方が、身近な食材で読者にとっても入手が簡単でお手軽なのに、検証が面倒でそのままのレシピにしちゃった、、、」

とか

「実は砂糖小さじ1よりも小さじ1/2の方が美味しいかもしれないのに、もう納期が3稿だから試作しないでそのままでいいや!」

みたいな違和感を1ミリでも残したまま、世に出したらアウトだと思っています。

違和感を残したまま世に出すと、自分の創作物に自信が持てなくなり、心の底から

「この本は良い本です!」

とは言えないからです。
作った本人が「良い本」とは言えない本が良い本であるはずがありません。

それは何もレシピ内容に限った話ではなく、

「改行する時は何行までなら、文字数が多くて大変だなあ...という負担を与えないようにできるかなあ?」

とか

「中火と強火のデザインは炎の勢いだけじゃなくて、実際の大きさにも差異があった方が分かりやすいんじゃないかなあ?」

など、本作り全般のあらゆることにおいてです。

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・「本当に目線の動きに沿った見やすい工程の流れかどうか?」
・「どうしたらスッと人間の脳みそが理解できる配置か?」

など、とにかく1ミリでも本に対する違和感があれば、それらを残さないことにひたすら全神経を集中させました。

表紙の写真も違和感があったので、編集さんに無理を言ってお願いして、急遽発売前に「カメラマンさんやスタイリストさんの作業代やお皿のリース代金」など全て自腹を切って、再撮影をさせてもらいました。

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↑表紙に使用した写真。実は再撮影で撮ったものです。

そうやって一切の妥協なく作り上げた本を見た時に

「この本は良い本だなあ」

という言葉が自然とこみ上げてきました。

どこかで妥協していたら、こんな堂々とした本の宣伝記事はきっと書けなかったと思います。
www.cheap-delicious.com

新たな違和感に気づいた

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そうして作った本は、運の良いことに50万部を超えるベストセラーになり、日本一の賞まで受賞しました。
受賞式当日は、「自分の中でのみ納得のいく本」が「多くの人にとっても良い本」だと認めてもらえたような気がしてとても嬉しかったのを今でも覚えています。

しかし、数日経つと上記のような筆者にとっては奇跡のような結果に対しても、違和感を持つようになりました。

・初めて出版した本も30万部超えベストセラーでレシピ本大賞受賞
・今回の本もベストセラーでレシピ本大賞受賞

「ちょっと出来すぎじゃないか...?」

たしかに上記に述べたように筆者自信、いつもその時にできる全力を尽くしてきました。
ただ、それにしても結果が出すぎているように思いました。

「いや、売れたんだから別にいいだろ!うるせえ!!」
という声が聞こえてきそうですが、やっぱり違和感を感じた以上は無視できず、なんだろうと考えはじめました。
気になって数日ほど何度も真剣に考えたところ、

「自分自身の料理の実力不足」

だということに気が付きました。

そうなんです。筆者は料理の専門学校を出たわけでもなければ、フランスの三ツ星レストランで修行していたわけでもありません。
せいぜい、高校時代の飲食店でのバイト経験や大学時代に海外インターンでホテルの厨房で働いていた程度の経験しかありません。

元々は料理研究家になれるとは夢にも思っていませんでした。

筆者は小さい頃から美味しいものを食べることが好きな子供でした。

小学生の時にふと
「自分で料理が作れれば、いつでも美味しいモノが食べられる!」
ということに気付いたのがきっかけで、料理が大好きになりました。

それからは料理が楽しくてしょうがなくて、調理実習で習ったクリームシチューを学校から帰ってきて家族に振る舞ったりしていました。
「バイトもせっかく働くなら料理する仕事がいいなあ!」と思い飲食店で働いていました。

そうして料理が好きで料理ブログを初めたところ、いつの間にか「料理研究家」とまで呼んで頂けるようにまでなりました。
つまり、料理研究家になるために、逆算的に行動したわけではないので、大した実力がないまま料理研究家になってしまったのです。

「このままじゃマズイ...」
「今はただ、運良く実力以上の結果が異常に出まくっているだけの状態じゃないか...」

と思うようになりました。

そして
・「大した実力もないのに結果だけが異常にでている状態は、自分としては決して良い状態とは思えない...」
・「なんとかこの異常に出てる結果に、見合うような人間になりたい...」

と悔しさを滲ませながら真剣に考えました。

何より、実力がないことにハッキリ気づいたからには、この違和感を払拭しない限り本づくりはできません。

そこで、少なくとも1年間はレシピ本を一切出版せずに自分の料理の向上に全部の時間を使うことを決意しました

もっと料理が上手くなりたい

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和食、洋食、フレンチ、イタリアン、スイーツ、とにかく食に関するあらゆることをできるだけ多く学ぶことにしました。

最初は各料理の専門書を買い漁って、ひたすらに読み込んで実践ししました。
実践してどうしても分からない時は、各分野のオーナーシェフがやっているような料理教室に潜入して質問したりもしました。

魚、海老、カニなどの魚介類も一通り綺麗に捌けるようになりたかったので
毎週土日に魚介類専門の業務用スーパーに通っては捌きまくってました。

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串打ちもできるようになりたかったので、のぼり串や平串など何度も練習しました。
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ふるさと納税も、ほとんどスーパーで手に入らない甲殻類に費やして捌きまくりました。

普段使っているコンソメも、どういう過程で作られているのか完全にブラックボックスだったので1から美味しいコンソメスープを作り方を勉強しました。
野菜に卵白をめいっぱい絡ませて、その卵白に野菜の雑味を吸わせることで澄んだ綺麗なスープを飲んだ時の美味しさと、こんな調理法を生み出した先人たちに感動しました。

旨味調味料は便利だからこそ、その根幹をしっかりと知った上で使いこなせるようになりたかったんです。

パン生地やピザ生地などの生地についても知識が欲しかったので食パンやクリスピー生地、ハンドトス生地など水の配合などを変えて色んな生地を焼きました。
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そば打ちなども、そば屋のかえしの作り方やそば屋が出すおつまみの作り方まで自分が納得行くまで作りまくりました。


もはや買えばいいものですが、ウインナーも豚の腸って実際にどんなものか気になって勉強して作りました。

とにかく自分に知識がない、実力が足りないと感じた分野はとにかく手当り次第どんどん手を出していきました。
今思えばそこに計画性などはなく、かなり非効率だったかもしれません。

ただ、もっと料理が上手くなりたかった。料理をもっと深く知りたかった。
もっと自分を磨くことで、少しでも結果に見合うような料理研究家に近づける気がしたからです(実際になれるかは別)

そして知識や技術を身につければ身につけるほど、まだまだ自分は本当に未熟だなあと思いました。
料理研究家である以上、料理の勉強は一生していくつもりです。

料理スキルだけじゃなくて伝え方も向上したい

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上記で述べたように料理技術の向上に励んでいくうちに、こんな思いが湧いてきました。

「レシピの届け方も上手くなりたい」

読者の方はお気づきかもしれませんが、筆者は人前に出ることが苦手です。
実は今までに「スッキリ」「マツコの知らない世界」「ズムサタ」「とくダネ」など名だたるテレビ番組からオファーが来たこともありました。

しかし筆者自身、「何かモノづくりを一生懸命こだわって作り上げること」は得意というかすごく好きなんですが、
カメラに向かって人様にお話しするというのが、どうにも苦手でお話を頂くたびに

「テレビに出て人前で料理をする自信がなくて、自分の実力不足で申し訳ありません...」
という形で出演を見送ってしまいました。(筆者ごときにこのようなオファーが来ること自体が貴重でありがたいのは百も承知です。本当にすみません...)

しかし、2度目のレシピ本大賞を受賞してからというもの、自分自身の未熟な部分と真剣に向き合っていくいくうちに、

「俺はいつまでこんなことをやってるんだ!」

「料理のスキルアップだけじゃなくて、人前に出ることも克服したらどうなんだ!」

「レシピを届ける仕事をしてるんのなら、届け方も上手くならなきゃだめだろ!」

こんな思いが強くなってきました。
なんていうか、

・料理のスキル
・料理の伝え方

など料理研究家として全てにおいて、
「読者の皆様からせっかく頂くことのできた素晴らしい結果」に応えられるような人間になりたいと強く思うのです。

そこで、人様に「料理を届ける力」を身につけるにためにYouTubeに料理動画を投稿することにしました。

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www.youtube.com


編集はもちろん撮影も初めて&話すことが苦手というダブルパンチで初めて撮影した時は
カメラの録画をオンにしたまま、カメラの前で何も話せずただ真顔でじっとしてることしかできませんでした笑

やっと話せるようになってもボソッとした話し方だったりして、「人がなんとかギリギリ見れるクオリティ」の動画を作り上げるまでに3ヶ月はかかりました。
まだまだ未熟な部分も多いと思いますが、Youtubeでの動画投稿を通じて「人様に伝わりやすい話し方」を身に着けて「料理の楽しさ」をお伝えできればと思います。

ちなみにこちら、自分の中では1番上手く話せた動画です笑

www.youtube.com

どうですかね。。上手く話せてますかね...?笑

成長しようと思えたのは読者のおかげ

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そうして今振り返ると、そう思えたのは読者の皆様のおかげでした。

自分のような未熟な人間がここまで運に恵まれて、明らかな実力以上の結果が出せたのは、間違いなく読者のおかげ以外の何者でもありません。

だからこそ、この結果に恥じないように、「もっと自分をレベルアップさせて、もっと簡単で美味しいレシピを届けたい」と強く思えました。
毎日精一杯生きているつもりですが、「本当に今自分が向かっている方向が正しいのだろうか...」とたまに挫けそうになることもあります。

未来のことなんて誰にも分からないし、未来は自分で切り開いていくものだと思います。

自分はまだまだ「料理技術」も「レシピを伝える力」も本当に本当に未熟です。
今後とも精進して参りますのでよろしくお願い申し上げます。

最後まで読んでくださってありがとうございました。

良かったらチャンネル登録もよろしくお願いします!笑。。。
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